「特に不具合はありませんが、オーバーホールした方が良いですか?」
というお問い合わせをいただくことがあります。
結論から言えば、私は状態によっては整備をおすすめします。
ただし、それは故障を探すためではありません。
未然に故障を防ぐためです。
機械は突然壊れるわけではない
古いカメラを見ていると、
昨日まで普通に動いていたのに急に壊れた
という話をよく耳にします。
しかし実際には、本当に突然壊れているわけではありません。
潤滑油の劣化。
部品の摩耗。
接着剤の硬化。
金属疲労。
長い時間をかけて少しずつ状態が変化し、その結果としてある日症状が表面化します。
人間の健康診断に似ている
オーバーホールはよく健康診断に例えられます。
体調が悪くなってから病院へ行くこともできます。
しかし定期的に検査を受ければ、大きな問題になる前に対処できる場合があります。
機械も同じです。
異常が大きくなる前なら比較的軽微な処置で済むこともあります。
壊れてからでは手遅れになることもある
ここが重要です。
故障の種類によっては、
整備していれば防げた損傷
というものがあります。
例えば、
劣化したグリスによる固着。
固着したまま無理に動かしたことによる部品破損。
摩耗による精度低下。
こうしたものは早い段階で整備していれば被害を抑えられる場合があります。
場合によっては交換部品が必要になり、修理費用も大きく変わります。
オーバーホールは故障修理ではない
私はオーバーホールを、
故障修理ではなく予防保全だと考えています。
自動車のオイル交換やタイミングベルト交換に近いものです。
動いているから不要なのではなく、動いているうちに行うから意味があります。
古い機械は放置にもコストがある
古いカメラは使わなくても劣化します。
むしろ長期間放置された個体の方が状態が悪いことも珍しくありません。
そのため、
「壊れてから考える」
ではなく、
「長く使うためにどう維持するか」
という視点が必要になります。
修理よりも維持管理
私は修理業者ですが、
本当は修理の出番がない方が良いと思っています。
大きく壊れる前に整備され、
適切に使われ、
長く使い続けられる。
それが理想です。
修理とは故障への対処だけではなく、
機械を未来へ残すための維持管理でもあると考えています。